臨床研究
TLG-DS-22003(特定臨床研究)
がんによる神経障害性疼痛に対するミロガバリン追加併用投与の検討(TLG-DS-22003)
がん患者さんの多くはがん疼痛を有しており、進行がん患者では 70-80%になるとされています。
そのうち約40%の患者さんでは神経障害性疼痛を有しているという報告があります。がん疼痛に対してはオピオイドが有効とされていますが、一般にオピオイドの神経障害性疼痛に対する効果は侵害受容性疼痛に比べて相対的に弱いとされています。神経障害性疼痛に対しては、オピオイドを継続しながら他の治療法を試みることが推奨されており、ガバペンチノイドなどの鎮痛補助薬も含まれています。一方で、オピオイドが無効ではないものの疼痛コントロールが不十分な患者では、オピオイドを増量する方法と鎮痛補助薬を併用する方法とがありますが、その有効性については十分なデータはなく、特にこれまでミロガバリンを対象とした研究報告はありません。そこで、当科ではがんによる神経障害性疼痛に対するオピオイドやミロガバリンの使用について、その有効性は安全性について下記のような臨床研究を行っています。
研究名称 | がんによる神経障害性疼痛を有する患者を対象としたオピオイド服薬中の患者にミロガバリンベシル酸塩を追加併用投与した際の有効性と安全性の検討-多施設共同、無作為化、非盲検、並行群間、介入研究 |
研究代表医師の氏名 | 橋口 さおり |
研究代表医師の所属機関 | 聖マリアンナ医科大学病院 緩和ケア科 |
研究の目的 | がんによる神経障害性疼痛患者を対象として、疼痛スコア(NRS;Numerical Rating Scale;痛みなしを0、想像できる最悪の痛みを10とした、0-10の11段階の評価スケール)の研究開始時から4週後までの変化量を、オピオイド治療群とミロガバリン併用治療群とで比較検討する。あわせて、有効性として、レスポンダー率、神経障害性疼痛の変化、オピオイド投与量の変化、レスキュー回数の変化、QOL評価、睡眠評価について両群間で検討する。また、安全性として、有害事象を評価する。 |
対象疾患名 | がんによる神経障害性疼痛 |
研究に用いる医薬品の名称等 | ミロガバリンベシル酸塩 オピオイド(モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルフォン、フェンタニル貼付剤) |
医薬品医療機器等法における未承認、適応外、承認内の別 | □未設定 □未承認 □適応外 ■承認内 |
研究薬等提供の有無 | □有 ■無 |
実施期間 | 研究開始日:2023年3月(臨床研究法施行規則第24条第1項の公表を行う予定日) |
症例登録期間 | 研究終了日:2025年3月(総括報告書の概要をjRCTに記録する) 登録予定期間:2023年3月~2024年10月 観察予定期間:2023年3月~2024年11月 |
実施予定研究対象者数 | 160名(80名/群) |
研究の種類 | 共同臨床研究、特定臨床研究(臨床研究法対応)、多施設共同、無作為化、非盲検、並行群間、介入研究 |
JORTC-PAL18
がん患者のがん疼痛に対するオピオイドとナルデメジンの併用治療がオピオイド誘発性便秘症(OIC)を予防する効果についての多施設共同二重盲検ランダム化プラセボ対照比較試験 (JORTC-PAL18)
対象となるがん | 問わない |
種類 | 臨床試験 |
実施方法(治験のデザイン) | オピオイド誘発性便秘の予防に対するプラセボを対照とした二重盲検無作為化比較試験により、ナルデメジンのプラセボに対する優越性を検証する |
研究代表者 | 筑波大学附属病院 総合診療科 濵野 淳 |
施設代表者 | 聖マリアンナ医科大学病院 平川 麻美 |
進行状況 | 登録中 |
臨床試験に参加いただける患者さんの身体状況(患者選択基準)
- 【適格規準】がん疼痛に対して、初めて強オピオイド(モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルフォン)の定期内服を開始するがん患者様
- 年齢が20歳以上 (同意取得時)
- 経口薬剤、食事及び飲料の摂取が可能な患者様
- 患者日誌に自分で記録することが可能とみなされる患者様 (患者様ご自身による評価が可能な場合は患者日誌への代理記録は許容する)
- 研究期間中はがんの病態の急激な変化を生じないと見込まれる患者様
- 本試験の参加にあたり十分な説明を受けた後、十分な理解の上、患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者様
- 【除外規準】消化管閉塞若しくはその疑いのある患者、又は消化管閉塞の既往歴を有し再発のおそれの高い患者様
- 消化管機能に影響を与える手術、放射線治療、または処置 (例:神経ブロック)を登録日から遡って14日以内に実施した患者、又は研究期間内に実施予定の患者様
- 医学的に重大な心血管、呼吸器、肝又は腎機能障害が既往歴や臨床検査値、心電図、身体所見から認められ、試験参加が不適当と判断された患者様
- ナルデメジンの投薬歴がある、もしくは現在、投薬中の患者様
- 過去7日以内に高度の下痢(1日7回以上)があった、または、便秘に対して摘便を行った患者様
- 過去7日以内にオピオイド貼付薬、オピオイド注射剤を使用した患者様
- 初回登録日から遡って14日以内に、排便に影響を与えることが確実に見込まれるがん薬物療法を行っている患者様、又は研究期間内に実施予定の患者様
なお、排便に影響を与えることが確実に見込まれるがん薬物療法は以下のように定義する
① イリノテカン(CPT-11)を含む治療レジュメンの初回投与
② その他に排便に影響を与えることが確実であるとみなされたがん薬物療法
ただし、以下のような場合は、排便に影響しないと考えてもよい
a) 前コースと同一レジメンのがん薬物療法(予防投薬を含む)又は同一薬・同用量のがん薬物療法(予防投薬を含む)中に中等度以上の便秘、もしくは下痢(CTCAE v5.0 Grade2以上)がなかった場合
b) 経口抗癌剤(TS-1など)を連日施行し、内服開始から試験薬開始時まで1週間以上経過して中等度以上の便秘、もしくは下痢(CTCAE v5.0 Grade2以上)がなかった場合 - 妊娠又は授乳中の患者様
- ナルデメジン、ナルトレキソン、メチルナルトレキソン、ナロキソン等のオピオイド受容体アンタゴニストに対する過敏症が疑われる患者様
- その他、併用療法や医学所見に基づき、研究責任医師又は研究分担医師により研究参加が不適当と判断された患者様